里芋や蓮など、植物の葉っぱの凄い水のはじきを真似て長期間持続性のある被膜をもつボディコートの材料としては合成樹脂のシリコーンワニス(シリコーン樹脂)や有機フッ素化合物が考えられる。
他に、岩手大学の山口教授が開発した方法は『ロータス効果による撥水』で金属や合成樹脂の表面を 10μm 位の微細な凹凸を周期的な粗さに加工することで達成している。ボディコートへの応用は難しいが 10μm の凹凸の存在によって所望の光沢が確保できない可能性もある。
又、シリコーン樹脂の水接触角は 90~110 度とそれなりの撥水性をもち、主にボディコートとして使用されるMe系レジンは紫外線の吸収をもたなく、硬く、酸化による劣化がないなど従来のものよりもかなり優れた性能を持っている。しかし、約10年前から市販されているガラス系と言われるシリコーン樹脂を原料とするボディコートは特に、屋根、ボンネット、トランクなどの水平面に硬いウォータースポットが固着し、その除去に大変な労力を要することが知られている。
有機フッ素化合物の水接触角は植物の葉っぱのもつ超撥水(水接触角 150 度)には及ばないものの 109〜115 度と撥水材料の中で最も大きく、更に摩擦係数も小さいので樹脂の中でも群をぬいて滑水性が優れている。しかも、接着エネルギーが 42~43dyne/cm とひじょうに小さいので無機化合物、有機化合物などのあらゆる汚れが付着しにくく、例え、付着したとしても密着がひじょうに弱いので除去しやすいという利点がボディコートの性能としては画期的である。
しかし、このくっつきにくい、くっついてもはがれやすい、有機フッ素化合物をボディコートとしてボディ表面にくっつける事は接着剤でもない限り難しい。
又、この有機フッ素化合物の形成する被膜は従来から使用されている原材料よりかなり薄く軟らかいので、光沢度や被膜の寿命が要求される品質を確保できるかの問題が考えられたがこのフッ素の活用に挑戦してみた。

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